[流体力学] 連続の式

November 21, 2019      

連続の式の導出

連続の式は流体力学における基礎式の1つで「流体の質量は突然出てきたり,突然消えたりしないよ」というごく自然なことを言っている.導出には,空間内に立方体の絵を描いて,xxから入ったものと,x+dxx+dxから出て行ったものの差を取って…というようなことも出来るようだ.ただ,ごちゃごちゃして混乱のもとなので,ガウスの発散定理を使ってすっきり導出する.

空間内の任意の領域Ω\Omegaについて考えよう.まず,この領域内にある流体の質量はΩρdV\int_{\Omega} \rho dVと表せる.またこの領域の微小表面dsdsから流れ出る流体質量はρvnds\rho \boldsymbol{v} \cdot \boldsymbol{n} dsと表せる.この領域内の質量変化は領域の表面から流入・流出した質量を集計したものに等しいはずである.このことを式で表すと次のようになる.

tΩρ dV=Ωρvn ds\begin{equation} \frac{\partial}{\partial t} \int_{\Omega} \rho~ dV = - \int_{\partial \Omega} \rho \boldsymbol{v} \cdot \boldsymbol{n}~ds \end{equation}

着目する空間内の領域は時間について一定なので,左辺の時間微分は密度のみにかかる.右辺にはガウスの発散定理を適用して以下のように変形する.

ρtdV=div(ρv)dV[ρt+div(ρv)]dV=0\begin{gather} \int \frac{\partial \rho}{\partial t} dV = - \int \mathrm{div} (\rho \boldsymbol{v}) dV \\ \int \left[ \frac{\partial \rho}{\partial t} + \mathrm{div} (\rho \boldsymbol{v}) \right] dV = 0 \end{gather}

この関係が任意の領域について成り立つので,以下のように連続の式が得られる.

ρt+div(ρv)=0\begin{equation} % \label{eq:LandauLifshitzVol6_1.2} \frac{\partial \rho}{\partial t} + \mathrm{div}(\rho \boldsymbol{v}) = 0 \end{equation}

圧縮性を考慮しない場合,ρ=const\rho=\mathrm{const}で以下の関係式が成り立つ.

div v=0\begin{equation} % \label{eq:LandauLifshitzVol6_10.2} \mathrm{div}~ \boldsymbol{v}= 0 \end{equation}