[流体力学] レイノルズ数と相似則

November 23, 2019      

代表長さLL,および代表速度UUを導入すると,非圧縮でのNavier-Stokes方程式を無次元化することができる.無次元化されたNavier-Stokes方程式を見てみると,レイノルズ数Re\mathrm{Re}の等しい流れでは,流れの場全体が相似になることがわかる.このことを実際に式変形して確認してみよう.

Navier-Stokes方程式の無次元化

非圧縮でのNavier-Stokes方程式は以下のように表すことができた(ナビエストークス方程式の導出)

ρ[vt+(vgrad v)]=grad p+μΔv\begin{equation} % \label{eq:LandauLifshitzVol6_15.7} \rho \left[ \frac{\partial \boldsymbol{v}}{\partial t} + (\boldsymbol{v} \cdot \mathrm{grad}\ \boldsymbol{v}) \right] = - \mathrm{grad}\ p + \mu \Delta \boldsymbol{v} \end{equation}

ここで,代表長さLL,および代表速度UUを導入して,次のような無次元化をしよう.

x=Lx,v=Uv,t=LUt,p=ρU2p,x=1Lx,t=ULt\begin{gather*} x = Lx', \hspace{10pt} v = Uv', \hspace{10pt} t = \frac{L}{U} t', \hspace{10pt} p = \rho U^2 p', \\ \frac{\partial}{\partial x} = \frac{1}{L} \frac{\partial}{\partial x'}, \hspace{10pt} \frac{\partial}{\partial t} = \frac{U}{L} \frac{\partial}{\partial t'} \end{gather*}

これらを(1)に代入すると,無次元化されたNavier-Stokes方程式を作ることが出来る.

ρ[ULt(Uv)+(Uv1Lgrad Uv)]=1Lgrad ρU2p+μ1L2ΔUv[vt+(vgrad v)]=grad p+1ReΔv\begin{gather} \rho \left[ \frac{U}{L} \frac{\partial}{\partial t'}(U\boldsymbol{v}') + (U\boldsymbol{v}' \cdot \frac{1}{L} \mathrm{grad}'\ U\boldsymbol{v}') \right] = - \frac{1}{L} \mathrm{grad}'\ \rho U^2 p' + \mu \frac{1}{L^2} \Delta' U\boldsymbol{v}' \\ \left[ \frac{\partial \boldsymbol{v}'}{\partial t'} + (\boldsymbol{v}' \cdot \mathrm{grad}'\ \boldsymbol{v}') \right] = - \mathrm{grad}'\ p' + \frac{1}{\mathrm{Re}} \Delta' \boldsymbol{v}' \end{gather}

レイノルズ数

Re\mathrm{Re}はレイノルズ数と呼ばれる無次元量で,次のように定義される.

Re=ρULμ=ULν\begin{equation} % \label{eq:LandauLifshitzVol6_19.1} \mathrm{Re} = \frac{\rho U L}{\mu} = \frac{UL}{\nu} \end{equation}

以下のように書き直すと,レイノルズ数が慣性力ρU2\rho U^2と粘性力μU/L\mu U / Lの比となっていることがよく分かる.(そもそもの構成則を思い出すと,せん断粘性率μ[Nmm/s]\mu [\frac{\mathrm{N}}{\mathrm{m}\cdot \mathrm{m}/\mathrm{s}}]は変形速度テンソル[m/sm][\frac{\mathrm{m}/\mathrm{s}}{\mathrm{m}}]をかけて,単位面積当たりの力[Nm2][\frac{\mathrm{N}}{\mathrm{m}^2}]となるような係数だった.)

Re=ρU2μU/L\begin{equation*} \mathrm{Re} = \frac{\rho U^2}{\mu U / L} \end{equation*}

いま,2つの幾何学的に相似な流れがあって,粘性係数μ\muや密度ρ\rhoが異なっていたとしても,レイノルズ数Re\mathrm{Re}が同一であれば,無次元化されたNavier-Stokes方程式は同じ形になる.このことをレイノルズの相似則と呼ぶ.

まとめと参考文献

今回は流体力学の教科書として1を紹介したい.流体力学というと,Navier-Stokes方程式を初めとする数式の理解が中心となりがちだが,この本は単に数式を追うのではなく,図や実験結果を多く取り入れて流体現象を解説する,というスタンスを取っている.一方で,扱っている流体現象の幅は広く,それぞれについての議論も丁寧なので,簡単にわかるという類の本ではない.序言には”流体の運動を取り扱う学問の入門書”とあるが,個人的にはむしろ,ある程度流体力学(基本的な数式)を学んだ後で読むと,数式と流体現象が結びついて理解が進むように思う.本棚に置いておいて,こちらの教科書ではこう書いてあったけど,1ではどう書いてあったかな,というような使い方をするのがおすすめだ.


  1. 谷 一郎, “流れ学 第3版”, 岩波全書, 1967年